SCIENSONIC RESIDENCY @ THE STONE /DAY 6-Last day

遂にSciensonic Residencyレポートも最終回です。 この1週間をライブで体感できたことはScott Robinsonフォロワーの私としては とても刺激的で幸せな出来事でした。引き続き、分析、実践、検証を続けていきたいと思います。 素敵な公演をどうもありがとうスコット・ロビンソン。Sciensonic!!!     ※私事で大変恐縮ですが、最終セットのアンコール前に 「はるばる日本から来たこの青年に敬意を表して」と、 出演者全員のサインを書いたフライヤー、サイエンソニック・ピンバッジ、サイエンソニック・試験管をSR本人から頂きました。 そしてこの上ない光栄ですが、「敢えて1stセットにも演奏したNOLAを捧げます」と、 私の大好きな曲の1つを演奏していただきました。生きていると良いことがあるんですネ… /////////////////////////////////////////// 【Day6/Last day】 ①Sciensonic Residency@The Stone6日目にして、この日が千秋楽であった。最後に相応しく、SRが「長年温めてきたアイデアを形にした」という”Orchestra of the Impossible”(不可能性のオーケストラ)のお披露目公演となった。 ②今回の公演では初めて1st、2ndともに同じ編成のユニットが出演。総勢16名から成るオーケストラはやはり異形の楽器が目立った。公演めがけてこの日もやはりStone前には長蛇の列が出来た。筆者は3番めに並んだが、その先頭にはなんと、VJOのtsリッチ・ペリーが並んでいた。 ③開演10分前に開場し、満場の観客でひしめき合うなか、楽器のウォーミングアップと場内の雑踏が混ざり合う。実はそれと気づかないうちに公演は始まっていたのだ。突然立ち上がったSRの合図で静寂が生まれ、会場の集中が一挙にオーケストラに集まった。 ④注視のなか”Impossiblize!! Kathy Ridl !”とスコット、そしてメンバーがやおら口々に叫びだすと、フォノフィドルを抱えたキャシー・リドルがソロをとる。そこにSRのバスサックスを皮切りに各人の即興が重なる。其処には確かにブレイクやロングトーンのキメはあるが、続 ⑤客席からはどういった仕組みで進行しているのかは窺い知れなかった。しかし、それは敢えて言えば「一糸乱れぬ即興演奏」といえるもだった。この中でSRが今までに録音などでしか使ってこなかった小物楽器(STOPと書かれた道路標識含む)が満遍なく登場し、相間に”Impossiblize!”続 ⑥の発声でソロがリレーされていく。展開されるモチーフは何れもSR節とも言うべきSF映画チックな者が随所に見られ、ユーモラスなアイデアに会場も沸いていた。混沌が高まりきった後、fl&pfデュオが澄み切った美しさを湛える。ここから急に、散発的な単音フレーズをorch.がまちまちに 続 ⑦演奏し始める。やがて単音の感覚もさらに開き、会場が息を呑む。この時、コンダクトをとっていたSRが客席に振り返り、散発フレーズのなか解説を始める。日本の劇作で見る「説明しよう~」と言う調子だ。曰く、「この曲は膨張する宇宙を表現したものだ。これよりこの曲は終わる事は無いだろう…」続 ⑧SR「この曲は次のセットも続き、演奏者の人生と同じだけ続くだろう。子孫の世代、きっと時の果て、人間の観測しうる限界まで。何処かで週に1音、年に1音だけこの曲の続きがメンバー、その子孫、はたまたこの宇宙の何処かで演奏されるかもしれない。」続 ⑨SR「そしてその音はある日ある時の、身の回りの一寸した物音であるかも知れない。…何故なら芸術はつまり意図(intention)なのだ。意図された時、その音は曲の一部となる。…楽曲「膨張する宇宙」にお立ち会いの皆さん、どうもありがとう。」続 ⑩とのスピーチがなされ、ステージでは次の曲である1915年の作品NOLAがこの編成のためのアレンジで演奏された。SRの重要な側面を代表するような、トラッド色溢れたメリーゴーランドの様な編曲であった。そして、この直後にエレキ・バスーン(!)によるヴァン・ヘイレン的なソロが展開され 続 ⑪次曲へ至る。此処からは、ジョン・ゾーンのCOBRA的なアイデアで楽曲が進む。もちろんSRがプロンプター役だ。ゲーム的な展開にクロスフェードしながらバスsaxの煙が目にしみるが重なり、また即興の中に霞んでいった。まるで夢の1シーンの様だ。唐突にホイッスルで始まるマーチングで 続 ⑫我に返った。このマーチングが始まると、ある意味誰もが予想だにしなかった出来事が起きる。このStoneのスペースのなさを顧みず全員で行進を始め、1人1人地下の楽屋へ続く階段を降りていった。この様子に会場が大盛り上がりする中、1stの終焉となった。 ⑬続く2ndもサウンドチェックの様な雑踏的な即興群の中からSRがおもむろに登場し、バスバラライカのトニー・シャーにソロを振りながら「やぁトニー、君の意見を聞きたいんだが、この皮肉と悲劇のダイアトニックがマイナーの…ブツブツ」と言いながら、米コメディアニメの様な演出が見られた。 ⑭コメディ的な展開に引き込まれた後、オーケストラは再びCOBRA的な手法をみせ、随所で”Impossiblize!”の掛け声とともに各人のソロが散りばめられる。やがて演奏は異形なMood Indigoに至った。スライドtp×スライドsax×テルミン→バスーン×サリュソホン、続 ⑮と言った具合に、世界でも間違いなく此処でしか聴けないメロディリレーが見られた。この後、最後のメンバー紹介からバップ調で王道ビッグバンドサウンド→ブルース・ハークの様なサウンドコラージュを見せるSR作のMoonwalkという曲が演奏された。この曲でセットの終わりに成るかと思えたが続 ⑯思いがけず、SRから筆者への表彰となり、この上なく光栄な事に、筆者へ捧げる、として1stセットからNOLAがリプライズされた。この回ではSRのバスサックスがエイドリアン・ロリーニばりの2beatを刻み、1920年代と2016年が曖昧に混ざっていった。続 ⑰最後のNOLAの演奏を終えて、満場のスタンディングオベーションのなか、Sciensonic Residency@The Stoneは総てのプログラムを演奏し終えた。最後には感極まって声が上ずり、天を仰ぐSRがとても印象的であった。 ⑱どんな時も、このレジデンス公演の時ですら額に汗もかかないSRがこの日は1stから額に汗し、シャロン夫人のflソロに演奏することを忘れ、またMC中にも度々声が上ずり最後には「夢が叶った!」と両手を高々と挙げていた姿は、この公演の意味を何よりも物語るものだと筆者は思った。終 ////////////////////////////////// 最後までお読み頂いた方、まことに駄文、恐れいります。 お付き合い頂きまして有難うございました! 何かしら得たものを形にしていきたい所です。 その際はもし宜しかったら、ぜひ応援いただければこの上なく嬉しく思います。 引き続きどうぞ、よろしくお願い致します!

SCIENSONIC RESIDENCY @ THE STONE /DAY 5

此方は只今5月2日の深夜です。 スコット・ロビンソンのThe Stone公演は昨夜をもって千秋楽でした。 とても、とても素晴らしかった。 余り得意ではない英語では勿論、日本語ででもうまく表現しきれない気分です。 私が勝手に記録しているこのレポートも、最後まで完走したいと思います。   ////////////////////////////////////////////////////////////// 【Day 5】 Twitterより転載 ①Sciensonic Residency@The Stone5日目は遂にSun Ra Arkestraの名as奏者Marshall Allenをゲストに迎え、1stはSpacette、2ndはサンラの名盤”Heliocentric Worlds”50周年記念セッションとなった。 ②この日は以前のセットからのリピーターも明らかに増え、1stから立ち見、2nd開始前にはThe Stoneの周りに長蛇の列が出来、最終的には入場制限が敷かれた。 ③1stからSR御大はスペーススーツ、MAはサンラ仕様のスパンコールジャケットを着こんで登場。バスマリンバ始め、maestroで電化されたコントラバスサックス、SteinerEVIなどが並ぶステージとあいまって、いよいよ異世界に連れて行かれるのだ、と思わされた。 ④演奏はMA御大に最大のリスペクトを尽くすようにして展開。MAのシンプルでアトランダムなフレーズはまるで子供の様な無邪気さを湛えながらも、バンド全員にクリエイティブなイマジネーションを与えていた。クラビオンとEVIの併用などそのまま70年代後半のSF映画劇伴としても聴けそうだ。 ⑤2ndもまたMAのフレーズから始められたが、それは”Heliocentric World”の録音で用いられたバスマリンバで奏でられた。このセットはそのアルバムと同じ編成で、当時の参加メンバーも交えた作品のRe-creationが狙いだ。今までのどのセットよりも混沌として、続 ⑥まとまらないまま多層にレイヤーされたフレーズ群が確かにSun Raを彷彿とさせた。途中、SR本人のよるコンダクトが交えられ展開される。昨日もそうだが、じっとSRが全体を見渡し自分の音楽的居場所を見つけあるべきフレーズを叩きこむ様はとても印象的だった。続 ⑦そして最終的にこのHeliosonic Tonewaysセッションはベースのオスティナートから大ユニゾンに発展し、誰もがイメージするSun Raのサウンドに間違いなく至っていたように思う。気づけば1時間以上の熱演となり、満員のStoneから惜しみない拍手が注がれて終演となった。  

SCIENSONIC RESIDENCY @ THE STONE /DAY 4

残す所、あと2日間となりました。 毎晩毎セットの振れ幅がとても大きいのですが、何れもとても楽しく興味深いです。 観客として悔いのないように(笑)、最後まで楽しんでいきたい、というかとても楽しみです。     ////////////////////////////////////////////////////   【Day 4】以下Twitterより転載です ①Sciensonic Residency@The Stone4日目は立ち見が出る中1stでは組曲群”Immensity(とにかく巨大)”から、様々な低音楽器の編成で。2ndはバスbjo、バスバラライカ、コントラバスsax…といった編成のDown&Outというユニットでの演奏だった ②1stからステージ上にはImmensityを象徴するようにコントラバスサックスが、右奥にはサンラの録音で使われたバスマリンバが鎮座していた。さて内容はというと、2-3分の短めな楽曲を中心に2-6人編成で、御大のMCを交えながら進行していった。見た目も加えて興味深かったのは続 ③バスサックスとフルート(奥様で数学者のシャロンさんが演奏!)のデュエット、3本のバスフルート(3本すべて形が違う…)、Oversized SaxQuartet(テナー、バリトン、バス、コントラバス)等、何れも低いか大きい。笑いながらも、アバンギャルドでパラノイアっくであった。 ④2ndはステージ上ややスッキリしたものの、更にパラノイアックな楽器が並んだ。ここに来てバスサックスは”maestro”(エディ・ハリスも使った木管用エフェクター)で電化されていた。Electrifying Scott Robinson。さてこの楽器群とメンバーの音楽は続 ⑤最初の数分は少し探りあいを見せていたが、やがて物凄くサイケデリックな様相を見せていた。楽器の上手いVelvet Underground、というと魅力がなさそうだが、此処で起きていた音楽はとても魅力的だった。最後は”Down&Out”を叫びながら盛況の中演奏を終えた。終 ⑤この日のMCの中でチラッと一言スコットが触れいていたが「どんなシンプルな楽器、例えばトライアングルであっても、楽器それ自体は1つの宇宙なのだ」稀代の楽器コレクターからこうした言葉を聞けた事はとても印象深かった。

SCIENSONIC RESIDENCY @ THE STONE /DAY 3

この日でこのResidencyも折り返しとなりました。       //////////////////////////////////// 【Day3】 以下twitterからの転載です。   ①Sciensonic Residency@The Stone3日目1stは3本のFメゾソプラノサックスとマリンバの為にスコットが書き下ろした作品を初演。この公演では初の譜面もの。2ndはお馴染みbジュリアン・セイヤーにdsフィーロン・アクラーフのトリオ。SF×民族音楽といった趣。 ②1stの作品はクラシカルなモチーフとそれぞれの即興ソロを交えた力作。途中のマリンバ→dsへのひとつ反則的な持ち替えを始め、30分近大作だが、それだけでステージが成立してしまう程に圧倒的な場面展開と統一感があった。そして其処にも必ずユーモアが欠けていなかった事は特に印象深い。 ③2ndは前日と同様の組み合わせだが、この日のdsがSR×JTのSF感に泥臭い音色を加えていた。SRが持ち出したカタロニア(スペインの一部)の楽器、テノーラが何処か別世界の砂漠に観客を連れて行っていた様に思う。最後は御大がバスサックスを文字通り振り回し、妖怪大戦争の様を呈していた。 //////////////////////// ちなみに2014年にスコット・ロビンソン御大のお宅と楽器庫、 Sciensonic Laboratoriesの本丸であるスタジオを訪れた様子は以下ブラストライブ誌に寄稿しました。 (今は売り切れとなっていますが…) この時最初に落ち合ったマリア・シュナイダーorch.@バードランドでもF mezzo soprano saxophoneをフィーチャー曲で演奏していました。 http://brasstribe.shop-pro.jp/?pid=77692554  

SCIENSONIC RESIDENCY @ THE STONE /DAY 2

【Day2】 こちらに来てからというもの、肌寒い日はあれども概ね天気は良好でとても助かっている。   それぞれのショーは、FBページ ScienSonic Laboratories にもSRご本人によるレポートが載っています。 ///////////////////////////////////////////// 以下Twitterより転載     ①Sciensonic Residency@The Stone2日目。1stはマリア・シュナイダーorch.でもお馴染の組み合わせpfフランク・キンボローとのデュオ。2ndはこの日が誕生日のSR御大のもとに80年代からの盟友が駆けつけBDセッション。tsルー・マリーニもゲスト参加。 ②1stは最初の1音からマリア・シュナイダーorch.の薫りが漂う。2人でMS。フランクのpfを弦楽器的に扱う奏法、そしてスコットのタロガトーが荒涼とした風景を描写。SRが楽器を持ち替える度にpfも持ち替えた様に音色が変わる。最後はアルトクラによるバラードで〆。この曲もMSだった。 ③2ndはBD Mayhemとしてバークリ時代からの盟友bジュリアン・セイヤー、dsクラウス・スォンザーリとのトリオ。御大はメインボイスtsからスタート。全くのフリージャズなのに醸しだされるバンド感をもって「こう言う複雑な事やるなら仲間を大切に」という御大の言葉で裏付けされる。続 ④散発的なpercのフレーズ、詰め気味のベースのフレーズ、そしてSRのアプローチそれぞれが醸し出す雰囲気はSun Raの名盤”Magic City”を髣髴とさせた。3人でサンラ。その後、ゲストのルー・マリーニほか5人がシットイン。総勢8名の即興セッションとなった。続 ⑤このセッションは大所帯ながらも、それぞれが音楽の察知、構成、展開する名人たちと言えた。そこでは1人1人のソロ&インタープレイ、そして各々が淡々と冷静に自分のパートを演奏し、それが大きく1つの音楽に組み上がっていった。集団即興演奏の1つ理想形を見たように思えた。終 //////////////////////////////////

Sciensonic Residency @ The Stone /Day 1

3日ほど前からニューヨークに来ています。 今年は可能性の街NYCで敢えて可能性を絞りこみまくる、のがテーマ…と言うことで 私が世界最高峰のサックス奏者の1人、と追いかけているスコット・ロビンソンが主宰する Sciensonic Laboratoriesによる1週間のレジデント公演に張り付きます笑 場所は日本でもお馴染みジョン・ゾーンの経営するThe Stone という訳で、運良くすぐ近くの部屋も借りられて諸々高まります。 The Stone   //////////////////////////////////////////////////// 【Day 1】 以下、Twitterからの転載中心にお届けします! ① ScienSonic Laboratories Residency@The Stone、初日から手加減なし!1stはステージいっぱいに広げた大量の持ち替え楽器群から、敢えてC-melody sax1本で「未来に臨む」セット。2ndはデュオでいわば”Nucleus”、”?”のライブパフォーマンスだ。 ②曰く「人生で3度めのソロパフォーマンス」である1stセットはシンプルでゆったりしたE音のモチーフから始まり、様々なエピソードを交えるようにして順当に、或いは唐突にE音にかえって行く。大きく反復するその構図が高まりきったところでスタンダード(I’ve Got The)World On A String。最高。 ③「Valve」「Galbestos」…SFリレーテッドな題をスコットが発し、それぞれ数十秒~数分の小セットが続く2nd。広げた持ち替え楽器がテルミンを含め、くまなく使われていく。お互いの音楽構成力、絵を描くような感覚が火花を上げるほどぶつかっているのに、その様は完全にユーモラス。 ④個人的な感想としては、C-melodyだけのセットとか、Nucleus(このアルバムで完全にサイエンソニックやばい、とハマった)とか私のマジで聴きたいものがいきなり初日からつめ込まれていて鼻血ものだった。此処から、サン・ラのMarshall Allenを迎えたり、スコット作編曲の室内楽セット、そして最終日は19人編成のOrchestra of Impossibleに発展していく。あと少ししたら2日目のセットが始まる。楽しみ! /////////////////// という訳で、初日から全セット追いかけてるのは日本人では私だけっぽいので、ちゃんと記していこうと思いました◎ (以下の写真はご本人の許可を得て撮影しました。ホントは確か、撮影禁止!) (写真上。真ん中はテルミン。左はタロガトー)